色鮮やかなでたらめ　感覚を包囲して

曖昧に溶けていく光に　肌が浮き上がっていく

鋭利に刺された神経を　黒に埋めたはずなのに

不意に上げた視線に　体を縛られる

能面に身を隠した　聖者たちがせせら笑う

鮮やかなあの景色も　穏やかなあの声も

全部嘘だって言うんだろ　幻だって言うんだろ

形のあるものたちが　水面に溶けていく

肥大していく黒い影　体を呑んでいく

剥がれ落ちたはずの皮膚に　冷汗がへばりつく

乾ききった喉元　息が逆撫でていく

通り過ぎた背中が　無数に睨みつける様

硬直していく手足　自律が消えていく

ささやかなあの喜びも　温かなあの優しさも

全部嘘だって言うんだろ　幻だって言うんだろ

形のないものたちが　空から落ちてくる

押し迫る黒い霧　体を蝕んでいく

鮮やかなあの景色も　温かなあの優しさも

全部本当だって言うのかよ　現実だって言うのかよ

砕かれたものたちが　地上に流れていく

動き回る僕の影　七色に混じる霧

「この世界は、誰の所為」

「この視界は___ 」

「あんたはもう、狂っている」

「あんたはもう、狂っている」

「あんたはもう、狂っている」